ドライブチェーン

ドライブチェーンはローラーチェーンとも呼ばれます。
スプロケットと呼ばれる歯車のような回転体を介してモーターなどの動力を張力として従動軸に伝達する機械要素です。
内プレート・外プレート・ピン・ブシュ・ローラの5部品から構成されており、一般的に低速大荷重の動力伝動や吊下げ駆動で使用されます。
大きな減速比が得られる、軸間距離の自由度が高い、両面使用でき多軸伝動が可能など、優れた特長を持っており、長寿命、高強度、耐食仕様等があり、様々なシーンでの使用が可能です。

ドライブチェーン伝動の特長

  • ・大きな減速比が得られます。(一般的には1:7まで)
  • ・長い軸間距離(通常は4m以下)が取れます。軸間距離に自由度が高いことも特長です。
  • ・チェーンの両面とも使用できますので、多軸伝動が可能です。
  • ・取付け取替えが容易です。(切接ぎが簡単)
  • ・短い軸間距離でチェーンを支持する構造であれば、軸が垂直でも駆動使用可能です。
  • ・ベルト駆動に比べ、同一トルクでスプロケット径を小さくできます。
  • ・力の伝達が多くの歯数で行われるので、スプロケットの歯の摩耗はギヤよりも有利になります。
  • ・ギヤに比べ、高い衝撃吸収能力を持ちます。

構造

ドライブチェーン(ローラチェーン)構造図

■チェーンの基本3寸法

ピッチ、ローラ径、内リンク内幅をローラチェーンの基本3寸法といいます。この寸法が同一のときは、ローラチェーンとスプロケットは寸法的には互換性があります。

※1 すきまばめ

軸と穴を組み合わせたときに、常にスキマができるはめあい。

穴の公差域が完全に軸(ピン、またはブシュ)の公差軸の上側にあるはめあい。

※2 しまりばめ

軸と穴を組合せたときに、常に締めしろができるはめあい。

穴の公差域が完全に軸(ピン、またはブシュ)の公差域の下側にあるはめあい。

構成部品とその役割について詳しく見る

プレート

プレートは伝動中にローラチェーンにかかる張力を受け持つメンバです。この張力は通常は繰返し荷重ですが時には衝撃を伴う場合もあります。したがって、プレートには単に静的な抗張力だけではなく、疲れ強さ・衝撃強さが高く、動的にも強靭であるものであることが要求されます。

ピン

ピンはプレートを介してせん断と曲げを受けると同時に、ローラチェーンが屈曲してスプロケットと噛みあう際、ブシュと共に軸受部を構成するものです。したがって、せん断強さ・曲げ強さ・靭性の他に耐摩耗性が必要です。

ブシュ

ブシュは各部品を介して複雑な力を受けますが、特にスプロケットと噛み合う際に、ローラを介して繰返し衝撃荷重を受けますので、衝撃疲労強さが大きくなければなりません。また、ピンの相手となって軸受の作用をしますので耐摩耗性も要求されます。

ローラ

ローラはローラチェーンがスプロケットに噛込むとき、前歯との衝突により繰返し衝撃荷重を受けます。また、噛み合った後、張力の大きさによって歯との噛合いの平衡位置が変化しますので、歯とブシュに挟まれながら歯面を移動し圧縮荷重と摩擦力を受けます。従って、衝撃疲労強さ・耐圧縮強さ・耐摩耗性が必要です。
注)RS11-SS・15・25・35にはローラは付いていません。

内リンク

2個のブシュが2枚の内プレートに圧入され、ブシュの外側にローラが回転できるようにはめられています。これは単列でも多列でも同じものを使います。

外リンクと中間プレート

外リンクは、2本のピンが2枚の外プレートに圧入されています。多列ローラチェーンの場合は、外リンクに中間プレートが加わります。RSローラチェーンの中間プレートはすきまばめ(※1)、スーパチェーンはしまりばめ(※2)です。

連結部品について詳しく見る

ローラチェーンは、普通多くのリンクが連結されエンドレス、または端末を固定して使用されますが、いずれも継手リンク(吊り下げ用などには専用継手リンク)が必要です。また、ローラチェーンが奇数リンクになる場合は、オフセットリンクが使用できますが、極力偶数リンクになる設計をしてください。

継手リンク


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チェーン品種 継手リンク名称 ピンと継手
プレート間
継手プレートの
止め方式
注意事項
RSローラチェーン M形継手リンク
型式:JL
すきまばめ
(M)
クリップピン
割りピン
スプリングピン
多列の継手リンクは、RC加工(注3)した継手プレートを一番外に組み込んでください。
使用速度は、伝動能力表の白地の範囲です。
F形継手リンク※
型式:FJL
しまりばめ
(F)
クリップ
割りピン
スプリングピン
Tピン
指定の用途及び伝動能力表の着色部の速度域では必ず使用してください。
F形継手リンクが必要な場合は、ご注文時に必ずご指示ください。
ラムダチェーン M形継手リンク
型式:JL
すきまばめ
(M)
クリップ
割りピン
ラムダチェーン用伝動能力表の全域で使用できます。
継手プレートにはRC加工を施しています。
スーパチェーン M形継手リンク
型式:MJL
すきまばめ
(M)
スプリングピン 継手プレートにはRC加工を施しています。
F形継手リンク
型式:FJL
しまりばめ
(F)
スプリングピン 衝撃の大きな伝動、特に負荷の大きな伝動やサイドフォースが作用する恐れのある場合の伝動など、過酷な条件の場合に使用してください。
スーパHチェーン
ウルトラスーパチェーン
F形継手リンク
型式:JL
しまりばめ
(F)
スプリングピン 各々のチェーンの専用継手リンクを使用してください。
強力チェーン M形継手リンク
型式:MJL
すきまばめ
(M)
割りピン
スプリングピン
継手プレートにはRC加工を施しています。
強力チェーンの専用継手リンクを使用してください。
F形継手リンク※
型式:JL
しまりばめ
(F)
割りピン
スプリングピン
強力チェーンの専用継手リンクを使用してください。
カタログ記載
その他のローラチェーン
M形継手リンク
型式:JL
すきまばめ
(M)
割りピン・クリップ
スプリングピン
Tピン・Zピン
各チェーンの寸法図を参照ください。
なお、継手プレートにRC加工をしているのは、NP、NEP、SNSチェーンのみです。
注)  
1.  チェーンサイズ毎の継手プレート止め形式は、寸法図および各々の注記のとおりです。
2.  ※印RSローラチェーンおよび強力チェーン用F形継手プレートに限り、外観色は黒色です。
3.  リングコイン(RC)加工とは、つばき独自の加工で継手プレートのピン穴にそって、塑性変形部を設けることで、穴周辺に残留応力を発生させることを目的としています。すきまばめでも強度低下を起こすことなく、本体チェーンと同一の強度でご使用いただけます。

リングコイン加工

オフセットリンク


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注)
1.  オフセットリンクの適用ローラチェーン品種およびサイズは寸法図をご覧ください。
2.  オフセットリンクは本体チェーンに比べ伝動能力、最大許容張力が低下する場合があります。

ドライブチェーン製品一覧

世界で最も信頼されるブランドつばき RS®ローラチェーン

最も汎用的に使用されている、JIS・ASME・ISOに準拠した世界規格のドライブチェーンを紹介しています。
ドライブチェーンは一般的に、低速大荷重に適した経済的な動力装置として幅広く使用されていますが、使用方法、潤滑方法を工夫すれば、さらに高速域での使用も可能です。

より大きな伝動能力が必要な場合は、サイズアップ以外にチェーンを2列・3列とした多列チェーンを用いることもできます。

RSローラチェーン

形番 RS□□~

製品詳細情報へ

ISO"A"に該当する、汎用ローラチェーン

サイズ

RS15~RF400

BS・DIN(ISO"B")規格のローラチェーン

サイズ

RF06B~RS56B