Q&A  大形コンベヤチェーン

お客様から寄せられました「よくある質問」をQ&A形式で掲載しています。質問をクリックして回答へお進みください。

大形コンベヤチェーン

Q&A内で語句

Q1 コンベヤチェーンの各部品の使用限界は?
Q2 フローコンベヤチェーンの耐摩耗性の向上策は?
Q3 ベアリングローラコンベヤチェーンがなぜ経済的なのか?
Q4 400℃を越える条件ではどの様な注意が必要か?
Q5 コンベヤのシャクリの原因と対策は?
Q6 コンベヤチェーンのテークアップ力はいくらで設定すればよいのか?
Q7 チェーンのガイド方法は?

チェーン周辺機器

Q8 コンベヤチェーン用給油器 (TCL形) の寿命は?
Q9 コンベヤチェーン用給油器 (TCL形) は、傾斜コンベヤにも設置できるか?
回答へ
Q1 コンベヤチェーンの各部品の使用限界は?
A1

一般的にコンベヤチェーンの寿命は、各部品の摩耗で決まります。どの部品が先に寿命に達するかは、用途により異なります。
各部品の摩耗寿命限界は以下の通りです。

  1. (1) Rローラ・Fローラ

    触軌面および、ブシュとの摺動部分の摩耗によって、プレートの下面がレールにあたり始める時をもって限界とします。

    なお、レールに曲がり部分がある場合には、右図のようにSに相当する寸法だけ摩耗しろが少なくなりますので、平面の場合に比べてより一層の注意が必要になります。

  2. (2) Sローラ

    ローラ肉厚が60%摩耗し、残り40%になった時が限界です。

  3. (3) ブシュ

    ブシュ肉厚が60%摩耗し、残り40%になった時が限界です。

  4. (4) プレート
    • プレート相互間の摩擦およびローラ側面とプレート内側との接触により、下図(左)の(A)(B)の ように摩耗が生じます。この摩耗量がプレート板厚の1/3を越えると限界となります。
    • プレートが直接輸送物やレール上を滑る場合は、下図(右)のようにプレートの幅方向に摩耗します。この摩耗量がプレート板幅の1/8に達した時に限界となります。

  5. (5) チェーンの摩耗伸び

    チェーンはスプロケットに噛合う時や、レールの曲がり部で屈曲します。この時のブシュとピンの摺動による摩耗によってチェーンの全長が伸びます。

    この使用限界は、基準長さ (ピッチXリンク数) の2%伸びた時点としています。下図のようにできるだけ多くのリンク数 (少なくとも4リンク以上) を測定します。測定位置は、下記A、B何れかの方法でチェーンの長さを測定し、基準長さと対比の上、チェーンの伸び率 (%) を求めてください。

    • (A) ピンの中心から中心まで
    • (B) ピンの一端から一端まで

質問へ戻る
Q2 フローコンベヤチェーンの耐摩耗性の向上策は?
A2

セメント輸送等に使用されるフローコンベヤでは、従来からピン、ブシュ、ローラの材質・熱処理を工夫し、この部分の耐摩耗性をアップした、BT仕様があります。しかし、摩耗性の高いフライアッシュ (セメント原料のひとつ) などの搬送では、更なる耐摩耗性を要求され、2000年6月にフライアッシュ用フローコンベヤチェーン (FA仕様)を商品化しました。

これは、ブシュおよびローラの外周に特殊硬化処理を施し、耐摩耗性を飛躍的に向上させたものです。

【BT仕様とフライアッシュ用 (FA仕様) の比較】

【摩耗比較】

■BT仕様

■FA仕様

質問へ戻る
Q3 ベアリングローラコンベヤチェーンがなぜ経済的なのか?
A3

同じサイズの汎用コンベヤチェーンとベアリングローラコンベヤチェーンの価格を比較すると、ベアリングローラコンベヤチェーンの方が高くなります。しかし、ベアリングローラコンベヤチェーンは以下の特長を有し、その結果、下記の様な部分でコストダウンが図れ、ランニングコストで大幅なメリットが得られます。

【ベアリングローラの特長】

摩擦係数が小さい

ベアリングローラコンベヤチェーンは、ブシュ・ローラ間に円筒ころを挿入し、転がりの接触としています。そのため、汎用コンベヤチェーンに比べ、ローラの転がり摩擦係数が1/3~1/6に低下します。

これにより、チェーンに掛かる張力も1/3~1/6に低下します。

[転がり摩擦係数 (µ)]

  • 汎用コンベヤチェーン
    給油なし µ = 0.13~0.18, 給油あり µ = 0.08~0.12
  • ベアリングローラコンベヤチェーン
    µ = 0.03

[クリックで拡大]

ローラの耐荷重が大きい

ベアリングローラのローラの許容荷重は、汎用コンベヤチェーン(Rローラ)に比べ、約3倍大きくなります。

水平搬送や、わずかな勾配での搬送は、ローラの許容荷重でチェーンサイズが決まることが多く、1の特長と合せ、2サイズ小形のコンベヤチェーンが使用可能になります。

メンテナンスが容易・ロングライフ

円筒コロ (ベアリング) 入りなので、汎用コンベヤチェーンの一般の滑り軸受タイプに比べ、給油時間を5~10倍に延長でき、保全の手間が少なくなります。

しかも、ブシュ~ローラ間の摩耗寿命が著しく向上します。

シャクリを起こしにくい

ローラの転がり摩擦係数の変動が少なく、シャクリを起こしにくくなります。

※シャクリについては、「Q5.コンベヤのシャクリの原因と対策は?」の項を参照してください。

【コストメリット】

質問へ戻る
Q4 400℃を越える条件ではどの様な注意が必要か?
A4

一般的にチェーンを高温雰囲気で使用する場合、以下が問題になります。

  1. (1) 硬さの低下による強度低下
  2. (2) 伸びの増大 (クリープ破壊のおそれあり)
  3. (3) 硬さ低下及び摩擦係数のUPによる摩耗の増大
  4. (4) 熱膨張や潤滑を行っている場合は、油の劣化、炭化によるチェーンの屈曲不良

400℃を超える場合はステンレス鋼を使用し、上記の様な問題点を考慮した上で、アプリケーションに応じたチェーンの選定、設計を行います。400℃以上での使用に関しては、当社へご相談ください。

質問へ戻る
Q5 コンベヤのシャクリの原因と対策は?
A5

シャクリとは、「サージング」、「スティックスリップ」などとも呼ばれる自励振動の一種で、駆動部が連続運転しているにもかかわらず、チェーンが移動、停止を繰り返す現象を言います。

一般的にコンベヤのシャクリは、コンベヤ機長が10m以上で、チェーン速度が15m/min以下の場合に発生し易くなります。

原因としては以下があげられます。

  1. (1) ブシュ、ローラ間の摩擦係数の変動
  2. (2) チェーンの剛性不足
  3. (3) 駆動部、フレームの剛性不足

その対策としては以下の通りです。

  1. (1) チェーン速度を上げる。
  2. (2) コンベヤを分割し、機長を短くする。
  3. (3) 大きなサイズのチェーンを使用し、フレーム、ガイド類も強化しコンベヤそのものの剛性を上げる。
  4. (4) ブシュ、ローラ間の摩擦係数を小さくし、安定させる。その方法には下記の2通りがあります。
    • チェーンをシャクリレス仕様とし、つばきシャクリレスオイルで潤滑する。
    • ベアリングローラコンベヤチェーンを採用する。

(ただし、チェーン速度が2m/min以下になる時は、当社に相談ください。)

質問へ戻る
Q6 コンベヤチェーンのテークアップ力はいくらで設定すればよいのか?
A6

コンベヤチェーンの張り (テークアップ) は、強くなり過ぎないよう、駆動部の下で適当なたるみを持たせておく方が好ましい使い方です。しかし、以下の場合はチェーンのテークアップにより、チェーンのたるみをとる必要があります。

  1. (1) コンベヤ上で位置決めを行う
  2. (2) 正逆運転が頻繁にある
  3. (3) 搬送側でチェーンが押し勝手に進む

一般的には、目視、手の感触で適度な張り具合を調整頂ければ十分ですが、数値の目安としては下記の通りです。

【計算方法】
· チェーン質量 … M (kg/m) X N (条数)
· チェーンに取付けるスラットや治具質量 … W (kg/m)
· 搬送物質量 … m (kg/m)
· 軸間距離 … C (m)
· チェーン (または治具) とレールの摩擦係数
 (チェーンの戻り側 (下側) )
… µ
· 重力加速度 … G ( = 9.80665m/s2)
  • 回転方向 Aの場合 (正転)
    テークアップ力 : F ≧ { (M X N + W) X C X µ } X G/1000 X 2 X 1.2~1.5
  • 回転方向 Bの場合 (逆転)
    テークアップ力 : F ≧ { (M X N + W + m) X C X µ } X G/1000 X 2 X 1.2~1.5

正逆運転のある場合は、「回転方向Bの場合(逆転)」のテークアップ力で調整ください。

【ご注意】

  • 上記のFはテークアップの目安です。コンベヤの稼動状況を見ながら調整ください。
  • テークアップ力を加えた作用張力が、チェーンの最大許容張力をこえないように、あるいは適正な安全率を下回らないようにしてください。
  • チェーンの張り過ぎは、摩耗を促進し寿命を縮めます。
質問へ戻る
Q7 チェーンのガイド方法は?
A7

チェーンのガイド方法の例を以下に記します。設計・構想の参考にご利用ください。

  1. (1) ブシュドチェーン・ブロックチェーン

  2. (2) Rローラ、Sローラ形チェーン

  3. (3) Fローラ形チェーン

質問へ戻る
Q8 コンベヤチェーン用給油器 (TCL形) の寿命は?
A8

寿命は下記の2点できまります。

  1. (1) 本体ポンプ

    過度の使用により、適正な給油が出来なくなった時点。

  2. (2) チェッカーアームは、先端ローラが摩耗しチェッカーアーム本体がチェーンのローラと干渉し始めた時点。

    通常は、(2)の方が先に寿命となります。

    交換用のチェッカーアームを用意しておりますので、部品交換ください。

    チェッカーアームの先端ローラは、連続作動させると摩耗損傷が著しく早くなります。必要量の給油が終了しましたら、オイルタンクのコックで給油を停止し、右図の様にチェッカーアームがチェーンと接触しないようにしてください。

    また、摩耗性の高い粉塵等の雰囲気下では、摩耗が著しく進行しますので、ご注意ください。

質問へ戻る
Q9 コンベヤチェーン用給油器 (TCL形) は、傾斜コンベヤにも設置できるか?
A9

傾斜部に設置すると、油の吐出不良が発生する可能性があります。コンベヤチェーン用給油器の本体は水平部に据付けてください。

質問へ戻る