技術資料 トップチェーン 取扱

このページはプラスチックモジュラーチェーン(固定幅)・プラスチックモジュラーチェーン(幅広)
トップチェーン・プラブロックチェーンそれぞれの製品の共通ページです。

トップチェーンの据付・点検

1. スプロケットの取付け

スプロケットの取付けの良否は、コンベヤのスムーズな運行に大きな影響を与え、チェーンの寿命を左右します。
取付けは下記要領で正しく行ってください。

1)水準器で軸の水平度を出します。
精度は±1300以内に調整します。

水準器で軸の水平度を出します。

2)軸の平行度を出します。
精度はA-BLが±1100以内に調整します。

軸の平行度を出します。

3)一対のスプロケットの食違いを修正します。

  • 軸間距離1mまで:1mm以内
  • 軸間距離1m~10m:軸間距離(mm)1000以内
  • 軸間距離10m以上:10mm以内
一対のスプロケットの食違いを修正します。

4)1)~3)の調整後、スプロケットをキー、つばきパワーロックなどで軸に固定します。
並列使用のスプロケットは、軸心上の2枚の歯が同位相となるようにして固定します。

2. 点検

初期のなじみ期間は、調整を行うために点検をしばしば行ってください。次の諸項について点検をします。

  • 1)チェーンの異常な摩耗
  • 2)チェーンのたるみ
  • 3)チェーンの表面の平坦度
  • 4)隣接チェーンとのトッププレート上面差
  • 5)トッププレート間の異物、トッププレート間の間隔
  • 6)チェーンの脈動とシャクリ
  • 7)スプロケットの異常摩耗、心振れによる異常な当たりキズ、スプロケット歯底のゴミの堆積
    スプロケットの正常な噛合いは、当たりの状態が図のAのように一様に当たっています。
    Bのように偏っているのは、スプロケット取付不良かチェーンがねじれているなどが原因ですから再点検してください。
    当たりの位置は、歯底(谷)から少し上った所が正常です。
    ただし、初期張力をかけてたるみ側に張力が残っている場合には、わずかに歯底(谷)に当たりますが、この場合にも、当たりが強いのはAの位置です。アイドラ、タイトナの場合は、歯底(谷)の中央で当たっています。
    点検
  • 8)レールの過大な摩耗
  • 9)潤滑系統の異常

チェーンの脈動、シャクリ、異常な摩耗の原因

  • 1)オーバロード、ガラスの破片や王冠のかみ込み
  • 2)戻り側でのチェーンの波うち
  • 3)不十分な潤滑、または無潤滑
  • 4)トッププレート相互の干渉
  • 5)スプロケットの摩耗
  • 6)チェーンの変則的な摩耗や破断

3. 潤滑

チェーンの摩耗による伸び、スプロケットの摩耗、およびトッププレートやレールの摩耗は、潤滑によって驚くほど減少します。

また潤滑剤の使用によって、搬送中の騒音や動力損失も少なくできます。

プラスチック製のチェーンには、自己潤滑性がありますが、潤滑を行うことにより同様の効果が得られます。

この際、最も望ましいのは良質の潤滑油ですが、油が使えない時は、専用潤滑剤や石鹸などがよく使用されます。

これら潤滑剤は、上述した摩耗が生ずる所へ、それぞれ十分に行きわたるよう配慮してください。

4. 清掃

一般の使用では、チェーンの摩耗粉、グリース、埃、こぼれたシロップ飲料などで堆積物ができやすく、次のような好ましくない結果になりますのでチェーンとコンベヤを掃除する必要があります。

  • 1)搬送物の汚れ、キズ、倒れ、滑り
  • 2)チェーンやモータに作用する負荷の増大
  • 3)スプロケットの歯の摩耗を促進
  • 4)コンベヤの脈動やシャクリの発生
  • 5)チェーンのトッププレートと屈曲部の摩耗を促進
  • 6)走行レールの摩耗が早くなる
  • 7)バクテリア、雑菌の増加

※トップチェーンを運転した場合、摩耗粉は発生します。
特に初期のなじみ期間には多く発生する場合があり、定期的な清掃を行ってください。

プラトップチェーン用スプロケットの固定方法

プラトップチェーン用スプロケットの固定方法

スプロケットの両側にスキマなくセットカラーをセットし、ボルトを締付トルク値で締付けて固定させてください。

アイドラの固定方法

アイドラの固定方法

アイドラの両側にセットカラーをセットし、ボルトを締付トルク値で締付けて固定させてください。

その際にスキマを設け、アイドラが回転することを確認してください。

詳細はセットカラーを参照ください。

5. チェーン・スプロケット・走行レールの取替基準

5-1. チェーン

項目 点検方法 判定基準(※)
チェーン摩耗伸び チェーン全体のガタを除くために
ある程度チェーンを張った状態で
トッププレート10枚の長さをメジャーで測定します。 チェーン摩耗伸び
判定 チェーン伸び率 X
A 0 ≦ X < +1.2%
B +1.2% ≦ X < +2.6%
C +2.6% ≦ X
伸び率X = (測定長さ - 基準長さ)÷基準長さ×100
基準長さ = チェーンピッチ×10
例) TTP形10リンク(基準長さ381mm)を測定した結果
測定長さ387mmであった時の伸び率および判定

伸び率X = (387 - 381)÷381×100≒1.6%
上記表より判定Bとなります。
トッププレートの摩耗
(プラトップチェーン・
ステンレストップチェーン
のみ)
走行レールと摺動する部分のトッププレートの板厚を
ノギスで測定します。
また、搬送面に1mm以上の凹凸が
生じていないか確認してください。
判定 厚み t mm
エンプラ製
(プレート厚み 4mm)
スチール製
(プレート厚み 3.2mm)
A 4.0 ≧ t > 3.4 3.2 ≧ t > 2.7
B 3.4 ≧ t > 2.4 2.7 ≧ t > 1.9
C 2.4 ≧ t 1.9 ≧ t
リンク高さの摩耗
(プラスチック
モジュラーチェーン)
走行レールまたは搬送物と摺動するリンク高さを
ノギスで測定します。 リンク高さの摩耗
判定 摩耗量 Y mm
WT0405 WT0700シリーズ
BTC4-M
WT1500/1900/2510
2250/2520/2700/3005
BT5/BT6/BT8シリーズ
A 0 ≦ Y < 0.2 0 ≦ Y < 0.4 0 ≦ Y < 0.6
B 0.2 ≦ Y < 0.5 0.4 ≦ Y < 0.7 0.6 ≦ Y < 1.0
C 0.5 ≦ Y 0.7 ≦ Y 1.0 ≦ Y
判定 摩耗量 Y mm
WT2500シリーズ
WTU3015・WT3827
WT3835・BTM8H・BTC8H
WT3109
WT3816
WT5707
BTH16
A 0 ≦ Y < 0.9 0 ≦ Y < 1.4 0 ≦ Y < 1.8
B 0.9 ≦ Y < 1.6 1.4 ≦ Y < 2.4 1.8 ≦ Y < 3.0
C 1.6 ≦ Y 2.4 ≦ Y 3.0 ≦ Y
摩耗量Y = 基準リンク高さ(カタログ値) - 測定高さ:t
リンク高さの摩耗
(プラブロックチェーン)
走行レールまたは搬送物と摺動するリンク高さを
ノギスで測定します。 リンク高さの摩耗
判定 摩耗量 Y mm
RSP35 RSP40・50
RSP-P08
RSP60
RSP-P012
RSP80
A 0 ≦ Y < 0.7 0 ≦ Y < 1.2 0 ≦ Y < 1.6 0 ≦ Y < 2.3
B 0.7 ≦ Y < 1.2 1.2 ≦ Y < 2.0 1.6 ≦ Y < 2.7 2.3 ≦ Y < 3.9
C 1.2 ≦ Y 2.0 ≦ Y 2.7 ≦ Y 3.9 ≦ Y
摩耗量Y = 基準リンク高さ(カタログ値) - 測定高さ:t
腐食 チェーンが腐食により屈曲不良の箇所がないかどうか、
また腐食が進行しているときは、錆を取除き、
リンクプレートの板厚をノギスで測定します。
判定 基準
A 浅く散在している程度まで。
B 全体に錆がまわっている。
C 板厚に影響する程、深く進行している。
トッププレートの変形 破損したビン、王冠などのかみ込みによる
トッププレートの変形、カール部の浮上り、
トッププレートと鋲のガタ、およびトッププレート上面の
異常な当たりキズなどについて点検します。
搬送に支障をきたすと判断される時は取替えてください。
トッププレート上面の異常な当たりキズについては
戻り側レールなどについて原因調査して修理してください。
ローラの欠け、
および回転不良
ローラの欠損、ローラの回転をチェックします。 欠けているローラ、回転不良のローラ、片べりの激しいローラがある場合は、
チェーンとローラを取替えてください。

(※)A:継続使用可能です。 B:使用限界まで余裕がありますが、取替準備の検討を要します。 C:使用限界で取替えを要します。

注)TPUN形のリンク高さの摩耗の基準についてはお問合せください。

5-2. スプロケット

スプロケットが右図(左)のように摩耗してくると、歯先A部にチェーンが引っ掛かって離れが悪くなり、チェーンが振動を起します。

摩耗の許容量はコンベヤの形式、チェーンのサイズによって多少異なりますが、1.5~2mm位摩耗したところで、取替えますとチェーンを傷めずにすみます。

また、スプロケットが右図(右)のように歯幅方向に摩耗する場合は、軸の心出しが不正確ですので修正してください。

スプロケット歯の摩耗
スプロケット歯の摩耗

5-3. 走行レール

走行レールが元の厚さの半分に摩耗した場合、取替えてください。