技術資料 大形コンベヤチェーン 選定

2. コンベヤ形式の決定

コンベヤ基本形式 搬送物
かずもの チェーン形式 ばらもの チェーン形式
搬送物を載荷する形式 ・スラットコンベヤ
スラットコンベヤ
RF- [BR/BF]
RF-(NB)
RF
RF-[DBR/DBF]
・エプロン/パンコンベヤ
エプロン/パンコンベヤ
RF
RF-(KG/KA)
・プッシャコンベヤ・トウコンベヤ
ジェットコースタ
プッシャコンベヤ・トウコンベヤ<br>ジェットコースタ
RF
RF-(NB)
NF
RF-<SR>
・フリーフローコンベヤ
フリーフローコンベヤ
RF-[VR]
RF-<SR>
RF-<TR>
・プレーンチェーンコンベヤ
プレーンチェーンコンベヤ
RF
NF
RF-(DL)
搬送物を懸垂する形式 ・トロリコンベヤ RF
RF-<TRO>
・バケットエレベータ RF
B
・トレーエレベータ
トレーエレベータ
RF
NF
・フライアッシュ用バケットエレベータ
フライアッシュ用バケットエレベータ
RF-(FB)
・立体駐車機
立体駐車機
RF
専用チェーン
・バケット式連続アンローダ 特殊チェーン
搬送物を押すまたは摩擦で動かす形式 ・プッシャコンベヤ
プッシャコンベヤ
RF
NF
RF-(NB)
・スクレーパ/フライトコンベヤ
スクレーパ/フライトコンベヤ
RF
RF-(AM/AP)
RF-(FG/FP)
・水平循環コンベヤ
水平循環コンベヤ
RF
RF-(NB)
RF-<GR>
・フローコンベヤ
フローコンベヤ
RF
NFX
・ドラグチェーンコンベヤ WD

注)

  • 1. 搬送物の摩耗、腐食特性については各種溶媒に対する耐食性をご参照ください。
  • 2. ()内は仕様記号、[]はローラ形式、<>は専用アタッチメント形式を示します。

3. チェーン形式の決定

チェーン形式の決定には、搬送物の性質を把握した上で搬送方法を決め、そのために最も経済的なチェーンコンベヤ形式を採用します。

コンベヤチェーンの使用方法は、上表の基本3形式とその他形式があります。用途に応じて前ページを参照のうえ、チェーン形式を決定してください。

チェーン形式決定の留意点
  • ・搬送物を搬送するときの走行抵抗を小さくするには載荷方式を採用します。載荷方式を採用することにより省エネ化が図れます。ベアリングローラ、コイル・トランスファ用が最適です。
  • ・搬送物が粉体・液体であり、チェーンの摩耗を促進するものである場合、それがチェーンにかからない構造にしてください。
  • ・ばらもの搬送で搬送物の飛散を防ぐときは、フローコンベヤのような密閉形コンベヤを採用します。
  • ・腐食性の大きい搬送物を運ぶ場合、および腐食性雰囲気でコンベヤチェーンを使用する場合は、適したチェーン仕様を選んでください。 (各種溶媒に対する耐食性参照)

4. ローラ形式の決定

大形コンベヤチェーンの構造の項の「ローラの形式」をご覧ください。

5. コンベヤチェーンの基本レイアウト

5.1 水平搬送の場合

戻り側(図の下方)の一部または全部をカテナリとしたものは、チェーンの熱などによる伸縮を吸収できます。比較的低速の場合に使用可能で垂れ量は通常、スパンの1割程度が適当です。逆転のあるコンベヤに使用するのは困難です。

1) 駆動スプロケットの外れ側にカテナリ(たるみ)をつくる方法

カテナリ

利点

  • 1) カテナリ張力が駆動スプロケットの噛み合いを円滑にする。
  • 2) チェーンに給油するときは、カテナリ部で行うと効果があります。

2) 戻り側を支持しない方法

戻り側を支持しない方法

機長が短く、低速のときに使用できます。

戻り側のチェーン質量による張力が振動の原因になり、スムーズな搬送ができないこともあります。

3) 戻り側をガイドまたはローラで受ける方法

戻り側をガイドまたはローラで受ける方法

チェーンがガイド、ローラと接し屈曲するので摩耗を早めたり、きずを生じやすくなることがあります。

またチェーンの振動が悪影響をおよぼすことがあり、機長が長い場合は分割してカテナリで受けることがあります。

4) 戻り側をすべてガイドで受ける方法

戻り側をすべてガイドで受ける方法

戻り側をすべてレールで支え、従動側のスプロケットにテークアップを装着し、チェーンのたるみを吸収する方法です。逆転のある場合にも採用できます。

ただし、カテナリが駆動スプロケットを出たところにありませんので、定期的にチェーンの伸びをテークアップで調整する必要があります。

注)テークアップの張過ぎは、チェーンの摩耗を早める原因となりますのでご注意ください。

5) 戻り側が上方になる例

戻り側をすべてガイドで受ける方法

5.2 垂直搬送の場合

載荷のまま停止することがある場合は、逆転防止のため、駆動部にブレーキや、「つばきバックストップカムクラッチ」を設置する必要があります。

注)テークアップの張過ぎは、チェーンの摩耗を早める原因となりますので注意してください。

垂直搬送の場合

5.3 傾斜搬送の場合

傾斜搬送の場合

5.4 軸が垂直の場合

軸が垂直の場合

水平循環など軸が垂直の場合は、チェーンにガイドローラなどを取付けて、チェーンの運行をスムーズにします。

コンベヤチェーン使用上の留意点
  • ・使用中のチェーン伸びを防ぐために、潤滑をしてください。潤滑油は、ISO VG100~150(SAE30~40)程度の粘度のものが適当です。給油は滴下・刷毛塗りなどの方法で、ピン~ブシュ~ローラ間などに油を浸透させ、それぞれの金属接触を避けるように注意してください。詳しくは潤滑のページをご参照ください。
  • ・スプロケットの軸は、正しく平行になるようにしてください。
  • ・スプロケットの歯は、少なくとも3枚以上チェーンに噛み合わせる必要があります。
  • ・チェーン伸びを調整するために、ぜひテークアップを付けてください。
  • ・チェーンを並列にして使うときは、両方のスプロケットは歯の位相を正確に合わせてください。
  • ・スプロケットの歯部が著しく摩耗したものに新品のチェーンを取付けた場合は、チェーンの摩耗が早期に生じることがあります。詳しくは据付のページをご参照ください。

6. ばらもの搬送用チェーン仕様の決定

代表的なばらもの搬送物に使用されるチェーンコンベヤ形式、およびチェーン仕様を参考に掲げ、推奨チェーン仕様を示します。

搬送物によっては、同一名称でも状況・性質が表1と異なるものもありますので、従来の実績も考慮に入れ、十分にご検討のうえコンベヤ形式、チェーン仕様を決定してください。

表1. 搬送物とチェーン仕様

  • 1. 搬送物の摩耗性については、大→中→小の順に摩耗性が小さくなることを示します。
  • 2. 腐食性については、強酸性・酸性・中性・アルカリ性・強アルカリ性で示します。
  • 3. 美麗仕様を使用するときは、美麗仕様をご参照ください。
搬送物 使用可能チェーンコンベヤ形式 推奨チェーン
仕様記号
備考
名称 摩耗性 腐食性 スクレーパ
コンベヤ
フロー
コンベヤ
エプロン
コンベヤ
バケット
エレベータ
中性 DT
大麦 中性
小麦 中性
大豆 中性
トウモロコシ 中性
小麦粉 中性
でん粉 中性
ケーン(さとうきび) 中性 DTA
バガス 中性 DTA
精製糖 中性 SS 注)3参照
岩塩 中性 DT
混合飼料 酸性
ソーダ灰 強アルカリ性
カーバイド
芒硝 酸性 GS
生石灰(乾燥) 強アルカリ性 DT
消石灰(乾燥) 強アルカリ性
ポリエチレン 中性
塩ビ粉末 MT
カーボン 中性 BT
活性炭 中性 DT
塩安(乾燥) 中性
硫安(乾燥) 酸性
尿素粉(乾燥) 中性
尿素粉(湿) 強アルカリ性 GS
合成洗剤 中性 DT
石膏(湿) 強酸性 GS・RT
ドロマイト アルカリ性 DT エプロンコンベヤの場合
DTA仕様
石灰石(乾燥) アルカリ性 エプロンコンベヤの場合
DTA仕様
粘土(乾燥) 中性 BT
セメントクリンカー 強アルカリ性 CT
セメント製品 強アルカリ性 CT
ウッドチップ(乾燥) アルカリ性 DT
おがくず(乾燥) アルカリ性 DT
石炭 酸性 CT
コークス 中性 BT
アルミナ 強アルカリ性 CT
鋳物砂 中性 BT
スケール 中性 BT
コークスダスト 中性 BT
石灰ダスト(湿) 酸性 BT
クリンカーダスト 強アルカリ性 BT
生ゴミ RT
都市ゴミ焼却灰
(常温・乾燥)
アルカリ性 DTA
都市ゴミ焼却灰
(水分含む)
アルカリ性 RT