冷凍室や寒冷地で使用される場合は、次の項目に特にご注意ください。

1) 材料の低温脆性

一般に材料は、低温になると脆くなり、衝撃強さが低下する性質があります。その程度は材料により異なります。

この点を考慮した使用限度の基準を表13に示します。

表13.材料の低温脆性に対する使用限度基準

注)-20℃以下のご使用はご相談ください。

2) 凍結による屈曲不良、およびローラの回転不良

チェーンは低温で使用しますと、ピン～ブシュ、プレート～プレート、およびローラ～ブシュのスキマに浸入した水分の凍結、霜の付着などにより、チェーンの屈曲不良、ローラの回転不良、およびチェーンとレールの固着などが起こります。この現象は、チェーンや駆動装置にオーバロードを作用させることになります。

凍結を防止するために、一般的には、チェーンの各部に水分、霜などが侵入しないように使用温度で凍結しない潤滑剤を塗布します。スキマに充填させるグリースは、シリコン系グリースを推奨します。

雰囲気が高温および高温の搬送物によってチェーンが加熱される場合のチェーン強度は、温度が高くなるにしたがい低下します。

高温における使用限度は、チェーン自体の温度と使用材質により決まります。

1) 高温加熱による変化と留意点

• (1) 摩擦係数は常温時より大きくなる
• (2) 異材の溶接は熱膨張率の違いにより熱疲労を起こすことがある
• (3) 400℃以上の雰囲気では、熱膨張を考慮したクリアランスとする
• (4) クリープ破断
• (5) 高温脆性
• (6) 炭化物析出による脆性
• (7) 熱衝撃(冷却、膨張)の繰返しなど

2) 潤滑油脂

シリコン系、フッ素系でグラファイトやMoS2添加の油脂は耐熱性に優れています。

特に摩耗性の高い場合の要点は、次の通りです。

• 1) チェーンに摩耗性の高い搬送物が降りかからないコンベヤ形式を選定する。カバーをつける。
• 2) チェーン速度をできるだけ遅くする。
• 3) チェーンのサイズを大きくしてピン～ブシュの軸受圧力を小さくする。
• 4) ピンにグリスニップルを付けて給脂する。

チェーンが腐食性物質にさらされる場合には

• 1) チェーン部品がやせ細る。
• 2) 腐食をともなった摩耗により急激に摩耗が進行する。
• 3) 錆付によりチェーンに屈曲不良や、ローラの回転不良が起こる。
• 4) 酸、アルカリなどの雰囲気では、応力腐食、粒界腐食が発生するなどの問題があり、特に注意を要する。

表14. 各種溶媒に対する耐食性

チェーンを選定する際、下表から素材の耐食性が十分なものであるかチェックしてください。

なお、この表は20℃の材料特性の程度を表わしたものであり、保証の程度を表わしたものではありません。

実際の使用にあたっては湿度、使用条件などを総合的にご検討ください。

各種溶媒に対する耐食性