技術資料 ドライブチェーン ローラチェーンの選定

12. 温度選定法

12.1 RSローラチェーン温度選定法

温度に対して強度低下を見込みます。

給油は、使用温度に適した潤滑油を使用します。

・高温でのローラチェーン伝動の問題点

  • 1. 硬さの低下による摩耗の増大
  • 2. 軟化による伸びの増大
  • 3. 油の劣化や炭化による屈曲不良と摩耗の増大
  • 4. スケールの発生による屈曲不良と摩耗の増大

・低温でのローラチェーン伝動の問題点

  • 1. 低温脆性による衝撃強さの低下
  • 2. 潤滑油の凝固や流動性の低下
  • 3. 霜や氷の付着による屈曲不良
高温・低温におけるRSローラチェーンの最大許容張力の目安
温度 RSローラチェーン 耐寒チェーン
RS60以下 RS80以上
-60℃未満 - - 使用不可
-60℃以上-50℃未満 - - カタログ値 × 1/2
-50℃以上-40℃未満 - 使用不可 カタログ値 × 2/3
-40℃以上-30℃未満 使用不可 カタログ値 × 1/4 カタログ値
-30℃以上-20℃未満 カタログ値 × 1/4 カタログ値 × 1/3 カタログ値
-20℃以上-10℃未満 カタログ値 × 1/3 カタログ値 × 1/2 カタログ値
-10℃以上60℃未満 カタログ値 カタログ値 カタログ値
60℃以上150℃未満 カタログ値 カタログ値 カタログ値
150℃以上200℃未満 カタログ値 × 3/4 カタログ値 × 3/4 使用不可
200℃以上250℃未満 カタログ値 × 1/2 カタログ値 × 1/2 -
250℃以上 使用不可 使用不可 -
  • 注) 1. 許容張力選定法で選定します。
  • 2. 雰囲気温度とローラチェーン自体の温度は異なります。ローラチェーン自体の温度で選定することを推奨します。

12.2 ラムダチェーンKF仕様の選定法

伝動能力表を用いた一般選定法で選定します。

温度に対して強度低下を見込みます。

無給油ドライブチェーンの伝動能力表の数値に下記の係数を乗じて、選定します。

チェーン速度は無給油ドライブチェーンの寸法・仕様の表にある許容速度以下でご使用ください。

高温における無給油ドライブチェーンの伝動能力の目安
温度 伝動能力
150℃以上200℃未満 カタログ値×3/4
200℃以上230℃未満 カタログ値×1/2

12.3 ステンレスドライブチェーン(SS・NS仕様)の高温(400℃以上)における選定法

チェーンの温度が高くなるにしたがい、強度は低下します。高温における使用限度は、チェーン自体の温度で決まります。

400℃ 以上の雰囲気で使用する場合は、当社にご相談ください。700℃以上では使用できません。

温度選定法では、チェーン速度の上限は50m/minです。

チェーンピッチが57.15mm以上のチェーンは、許容張力選定法上限速度に合わせます。

高温雰囲気による留意点は以下の2点があります。

  • 1.熱膨張による屈曲不良や、ローラ回転不良を防止するために、各部隙間の変更が必要です。
  • 2.高温になる程、低い荷重でチェーンが破断する(クリープ破断)など、物理特性の変化が考えられます。