技術資料 ドライブチェーン ローラチェーンの選定

2.選定に使用する係数

多列係数

多列ローラチェーンの伝動能力は、チェーンの各列にかかる荷重が等分されないため、単列ローラチェーンの列数倍の能力は期待できません。

したがって、多列ローラチェーンの伝動能力は、1列ローラチェーンの伝動能力に多列係数を乗じて求めます。

表1 多列係数
ローラチェーン列数 多列係数
2列 1.7
3列 2.5
4列 3.3
5列 3.9
6列 4.6

使用係数 Ks

伝動能力は、負荷変動の少ない場合を条件としていますから、負荷変動の大小により、使用係数Ksで伝動kWを補正するものです。

機械の種類、原動機の種類によって、表2に基づき使用係数Ksを決めます。

伝動kWに使用係数を乗じて、補正kWを求めます。

表2 使用係数 Ks
衝撃の種類 使用機械例 原動機の種類
モータ
タービン
内燃機関
流体継手
流体継手
なし
平滑な伝動 負荷変動の少ないベルトコンベヤ、チェーンコンベヤ、
遠心ポンプ、遠心ブロア、一般繊維機械、
負荷変動の少ない一般機械
1.0 1.0 1.2
多少の衝撃を
伴う伝動
遠心圧縮機、舶用推進機、多少負荷変動のあるコンベヤ、
自動炉、乾燥機、粉砕機、一般工作機械、コンプレッサ、
一般土建機械、一般製紙機械
1.3 1.2 1.4
大きな衝撃を
伴う伝動
プレス、クラッシャ、土木鉱山機械、振動機械、
石油さく井機、ゴムミキサー、ロール、ロールガング、
逆転あるいは衝撃荷重のかかる一般機械
1.5 1.4 1.7

回転係数 Knと歯数係数 Kz

表3 回転係数 Knと歯数係数 Kz

回転速度 r/min 回転係数 Kn
27未満 1.00
27以上37未満 1.03
37以上50未満 1.07
50以上70未満 1.10
70以上100未満 1.14
100以上150未満 1.19
150以上300未満 1.27
300以上500未満 1.34
500以上1000未満 1.44
1000以上2000未満 1.54
2000以上4000未満 1.65
歯数 歯数係数 Kz
9以上12未満 1.16
12以上15未満 1.14
15以上18未満 1.12
18以上24未満 1.10
24以上30未満 1.08
30以上38未満 1.06
38以上47未満 1.04
47以上60未満 1.02
60以上 1.00

衝撃係数 K

原動機と負荷との同一軸換算における慣性モーメント比(Iの比、GD2の比)、および伝動装置の遊びの大きさにより定まる定数です。

慣性比R > 10のときは、R = 10
慣性比R < 0.2のときは、R = 0.2としてください。

原動機または負荷のIまたはGD2が不明のときは図1のRの値を用いてください。

図1 衝撃係数 K

衝撃係数

アンバランス荷重係数 Ku

吊下げ用、台車駆動などでチェーン2本または4本で吊下げ、台車けん引するときは、チェーンの作用張力が均等になりません。

左右のアンバランスの目安として下記アンバランス荷重係数Kuを乗じて1本当りのチェーン作用張力を求めるときに使用します。

(例) 4本吊りでの1本当りのアンバランス荷重係数

Ku = 0.6 × 0.6 = 0.36

表4 アンバランス荷重係数 Ks
2本 0.6
4本 0.36