技術資料 機械式過負荷保護機器 選定

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ショックガード 選定

ショックガードを取付ける場所は、過負荷が発生すると思われる被動機にいちばん近いところに取付けるのが、安全装置としてもっとも効果があります。

人員輸送装置や昇降装置には、基本的にご使用をお控えください。

もしご使用される場合は人的災害や落下事故が発生しないような措置を装置側で講じてください。

1. トリップトルクの決定

TP = TL × S.F = 60000 × P 2π・n × S.F   TP = 974 × P n = × S.F

  • TP = トリップトルク N・m{kgf・m}
  • TL = 負荷トルク N・m{kgf・m}
  • P = 伝達動力 kW
  • S.F = サービスファクタ
  • n = 回転速度 r/min
  • (1) 機械装置の強度および負荷その他の条件から、これ以上のトルクをかけてはならないという限界値を決定し、これをトリップトルクとしてください。
  • (2) 限界値がはっきりしない場合は、ショックガードを取付ける軸の回転速度と定格出力より定格トルクを算出し、それに使用条件による表1のサービスファクタを乗じた値をトリップトルクとします。
表1
S.F 運転条件
1.25 通常の起動・停止、間欠運動の場合
1.5 過酷なショックロード、正逆運転の場合

2. 使用回転速度が比較的高い場合

使用回転速度が比較的高い場合(約500r/min.以上)または負荷の慣性が大きい場合は、モータの起動トルクによってショックガードがトリップする場合が生じます。

このようなおそれのある場合は慣性比を求め、起動時にショックガードに作用するトルクを算出し、それにサービスファクタを乗じた値をトリップトルクとしてください。

K = IL + It Is   K = GD2L + GD2t GD2s   Tt = K・TS + TL 1 + K Tp = SF・Tt

  • K:慣性比
  • Is:駆動側の慣性モーメント(kg・m2)
  • {GD2s:駆動側のGD2(kgf・m2)}
  • IL:負荷側の慣性モーメント(kg・m2)
  • {GD2L:負荷側のGD2(kgf・m2)}
  • It:ショックガードの慣性モーメント(kg・m2)
  • {GD2t:ショックガードのGD2(kgf・m2)}
  • Ts:モータの起動トルク(N・m){kgf・m}
  • Tt:ショックガードへの起動時作用トルク(N・m){kgf・m}
  • TL:負荷トルク(N・m){kgf・m}
  • TP:トリップトルク(N・m){kgf・m}
  • S.F.:サービスファクタ

注)各慣性モーメント、GD2およびトルクの値は、すべてショックガード取付軸に換算した値を使用してください。

3. トリップトルク決定時の注意

負荷トルクに比べて、起動時に作用するトルクの値が大きくなりますとトリップトルクの値も大きくなり、過負荷保護の上から問題が生ずる場合があります。
(負荷トルクに対してトリップトルクが大きすぎる)

このような場合は、ショックガードをできるだけ負荷側に近い所へ取付けてください。

4. 形番の決定

算出したトリップトルクが伝動能力のmin.~max.トルクの範囲にある形番を選定します。

5. 軸穴径の確認

ショックガードを取付ける軸が、決定したショックガード形番の軸穴径可能範囲(寸法表参照)に入っているかを確認してください。

軸径が軸穴径可能範囲より大きい場合は、それより一つ大きい形番にサイズUPして弱バネ仕様にすることにより対応できます。

6. 回転速度の確認

ショックガードの使用回転速度が最高回転速度以内であることを確認してください。

設計上の注意事項

  • * トルクからサイズを選定する場合、設定トルクがショックガードのトルク能力上限の80%以下になるようにしてください。これは、ショックガードを長年使用した場合、摩耗によるトルク低下に対して、再調整をするためです。
  • * インダクションモータなどで駆動する場合、起動トルクを考慮して、設定トルクを決定してください。また、大きな機械振動が発生する場合もショックガードが一瞬の過負荷に対して作動するため、計算のトルクより低い値で作動しているように見えることがありますので、振動を考慮したトルク設定を行ってください。
  • * インデクサなどの間欠駆動部に使用する場合、設定トルクと常用ピークトルクの差が小さい場合、運転中の負荷変動により伝達用ボールが、ポケット内を揺動して、機械振動や、ショックガード内部の異常摩耗の原因となるため、設定トルクは、装置を保護できる範囲で、できるだけ高く設定してください。
  • * 繰り返し作動トルク精度は、当社出荷時の値です。
  • * 駆動方法Vプーリ、タイミングプーリをショックガードに取付けて使用する場合、ベルト張力から発生するラジアル荷重が許容値を満足しているか検討してください。許容値を上回る場合は、当社までお問い合わせください。
  • * カップリング使用条件に応じ、各許容値を満足するか検討し、タイプを選定してください。
  • * 復帰回転速度復帰に際しては、できるだけ低速回転で行ってください。復帰回転数は従動側機械の慣性、駆動側の弾性、ショックガードの選定トルクなどの要素により変化するため、限定できませんが一般的な使用では、50r/min以下であれば復帰できます。低速回転復帰ができない場合、インチング操作を行ってください。

ショックガード本体や軸などを手で回してリセットすることは危険ですから避けてください。