技術資料 減速機 ウォーム減速機 取扱

ここでは、EWJ・EWJM(R)・EW・EWM(R)、SWJ・SWJM(R)・SW・SWM(R)、TDシリーズ取扱に関する一般事項について記載しています。

詳細につきましては、製品に添付しています取扱説明書をご参照ください。

7. 日常点検・保守

7-1. 日常点検

下表に従って必ず日常点検を行ってください。日常点検を怠るとトラブルの原因となります。

点検項目 点検内容
騒音 いつもより騒音は高くないか。異常音は発生していないか。
振動 異常な振動はないか。また、急激な変化がないか。
表面温度 異常に高くないか。また、急激に上昇してないか。
オイルレベル 停止時に油面が規定の位置にあるか。
据付ボルト 据付ボルトにゆるみが生じていないか。
チェーン・ベルト ゆるみが生じていないか。
潤滑油の汚れ具合 摩耗粉などによる汚れがないか。
潤滑油の漏れ 減速機の各接合部あるいは、オイルシール部、フタ部から油漏れが生じていないか。
プレッシャーベント エアー抜き用の穴が目詰まりしていないか。

日常点検でなんらかの異常が認められた場合は、「トラブルシューティング」に従って処置を行ってください。それでも回復しない場合は、お買い上げの店へご連絡ください。

7-2. 潤滑

トロイドライブ・ウォームパワードライブは出荷時、専用の高級潤滑油を封入していますので、そのままお使いいただけます。

(1)推奨潤滑油

  • ・減速機の能力・寿命・効率の上で、潤滑油は大変重要です。必ず当社指定の潤滑油をご使用ください。(他の銘柄との混用は絶対に避けてください。)
    EWJ・EWJM(R)・EW・EWM(R)シリーズ
    SWJ・SWJM(R)・SW・SWM(R)シリーズ
    全機種 ダフニーアルファオイル TE260(出光興産製)
    TDシリーズ 一段減速タイプ ダフニーアルファオイル TE260(出光興産製)
    高減速タイプ ダフニーアルファオイル TE380(出光興産製)

    注)TERUSシリーズについては製品に添付の取扱説明書をご参照ください。

  • ・通常の運転では、上記の封入潤滑油を推奨します。
    一段減速で入力500r/min以下ではダフニーアルファオイルTE380に交換することにより、寿命の向上が期待できます。
  • ・周囲温度が低温かつ入力回転数が1500r/min以上の運転条件で起動困難になる場合にはダフニーアルファオイルTE150を推奨いたします。

    注)-10℃以下または50℃以上の周囲温度でご使用の場合は、当社までご相談ください。

(2)潤滑油の交換

  • ・減速機の能力・寿命・効率の上で、潤滑油は大変重要です。必ず当社指定の潤滑油をご使用ください。
  • ・EWJ・EWJM(R)シリーズおよびSWJ・SWJM(R)シリーズの潤滑油交換は不要です。ただし使用条件により潤滑油の劣化が激しい場合は、交換することでさらに安心してお使いいただけます。
  • ・EW・EWM80~200、SW・SWM80~200、TD125~315の潤滑油交換は下記要領にて実施ください。
  • ・一回目は運転開始後、1000時間または3ヵ月のいずれか短い期間で交換してください。
  • ・二回目以降は運転条件に応じて、5000時間または1年毎のいずれか短い期間で交換してください。
  • ・排油は運転直後の温度の高いときに抜くと容易に排出できますが、火傷をする可能性があり大変危険です。ケースの表面温度が40~50℃程度以下になっていることを確認してから排油してください。
  • ・潤滑油の交換時に、交換される潤滑油にて、ケース内を洗浄されることをお薦めします。

    注)他の銘柄との混用は絶対に避けてください。

(3)概略潤滑油量

  • ・油量は同一サイズでも減速比により、多少異なりますが、下記油量を目安にし、必ずオイルゲージで確認ください。
    (静止状態においてオイルゲージ内に油面位置があれば、油量は問題ありません。)

    注)他の銘柄との混用は絶対に避けてください。

    注)TDシリーズの一段減速と高減速の銘柄を間違わないでください。

    注)EWJ・EWJM(R)シリーズおよび SWJ・SWJM(R)シリーズには、オイルゲージはありません。

・EWJ・EWJM(R)シリーズ

[一段減速 減速比:1/10 ~ 1/60]

(L)
タイプ サイズ
25 35 42 50 63 70
据付
方向
E 0.08 0.17 0.29 0.55 0.95 1.0
V

[高減速 減速比:1/100 ~ 1/3600]

(L)
タイプ サイズ
50 63 70
据付
方向
B&T
V
高速側 0.10 0.16 0.16
低速側 0.55 0.95 1.0

・EW・EWM(R)シリーズ

[一段減速 減速比:1/10 ~ 1/60]

(L)
タイプ サイズ
80 100 125 150 175 200
据付
方向
B 1.2 1.7 3.1 5.1 8.4 13
T 2.3 4.1 6.4 11 16 25
V 1.7 2.8 4.8 8.2 12 19

[高減速 減速比:1/100 ~ 1/3600]

(L)
タイプ サイズ
80 100 125 150 175 200
据付
方向
B 1.5 2.4 3.7 7.0 11 17
V 2.2 2.9 5.7 10 13 22

・SWJ・SWJM(R)シリーズ

[一段減速 減速比:1/10 ~ 1/60]

(L)
タイプ サイズ
25 35 42 50 63 70
据付
方向
E 0.08 0.10 0.16 0.55 0.95 1.3

・SW・SWM(R)シリーズ

[一段減速 減速比:1/10 ~ 1/60]

(L)
タイプ サイズ
80 100 125 150 175 200
据付
方向
B 1.0 1.4 2.2 4.2 6.5 8.5
T 1.8 2.8 5.1 8.0 13.0 15.0
V 1.4 2.1 3.7 5.9 9.6 11.7

[高減速 減速比:1/100 ~ 1/3600]

(L)
タイプ サイズ
80 100 125 150 175 200
据付
方向
B 1.5 1.9 3.1 6.3 9.1 12.5
V 1.9 2.6 4.6 8.0 12.2 15.7

・TDシリーズ

[一段減速 減速比:1/10 ~ 1/60]

(1)出力中実軸形(S)

(L)
タイプ サイズ
125 150 175 200 225 250 280 315
据付
方向
B 3.1 5.1 8.4 13.0 9.1 13.0 18.0 29.0
T 6.5 11.0 16.0 25.0 24.0 35.0 49.0 75.0
V 4.8 8.2 12.0 19.0 16.0 22.0 31.0 46.0

(2)出力中空軸形(H)

(L)
タイプ サイズ
125 150 175 200 225 250 280 315
据付
方向
B 2.2 4.2 6.5 8.5 9.0 13.0 18.0 29.0
T 5.1 8.0 13.0 15.0 20.0 27.0 38.0 58.0
V 3.7 5.9 9.6 12.0 15.0 20.0 28.0 44.0

[高減速 減速比:1/100 ~ 1/3600]

(1)出力中実軸形(S)

(L)
タイプ サイズ
125 150 175 200 225 250 280 315
据付
方向
B 4.1 7 11 17 13 19 28 39
V 5.8 10 13 22 20 28 41 56

(2)出力中空軸形(H)

(L)
タイプ サイズ
125 150 175 200 225 250 280 315
据付
方向
B 3.2 6 9 13 13 19 28 39
V 4.7 8 12 16 19 26 38 54

7-3. オイルシールの点検・交換について

  • ・オイルシールにも摩耗、寿命があり、油漏れの原因になります。特に厳しい条件(高温、高回転、屋外などの条件の厳しい環境)でお使い頂く場合には、寿命が短くなる可能性が考えられます。定期的に点検し、油漏れがある場合には、オイルシールを速やかに交換してください。オイルシールを交換する際は、必ず同じ形番・材質のオイルシールをご使用ください。 (材質の異なるオイルシールのご使用は、油漏れの原因となります。)また、オイルシール交換時には、オイルシールメーカーのカタログを参考にしてください。取替えに際して、オイルシール、フィルターの交換要領については取扱説明書を参照ください。
  • ・運転開始初期において、まれにオイルシールのリップ部から、組立時に充填された余分なグリースがにじみ出る場合がありますが、減速機の機能として問題はありません。

7-4. グリースの補給(準標準仕様)

  • ・取付方向により、入力軸が垂直上向きあるいは垂直下向きとなる場合(軸受けが油面よりも高い位置にある)には、上部となるベアリングに、グリースを定期的な給脂が必要な場合があります。(サイズ70以下を除く、サイズ80以上。)
  • ・定期的な給脂が必要な場合、製品にはグリースニップルを取り付ける給脂タップを設けています。(必要な場合は、外形図に「グリースニップル」と記載しています。外形図を参照ください。)
  • ・出荷時には、輸送中の油の漏洩を防ぐために、止め栓(M6細目の六角ボルト)で栓をしています。据付時・稼働前に、止め栓を外して、製品に付属しているグリースニップルへ付け替えてください。なお、出荷時には給脂しています。
    なお、搬送状態によりベアリングを潤滑するためのグリースがオイルに浸っていることもありますので、この場合には再度、グリースニップルよりグリースを補給することをおすすめします。
  • ・運転開始後、1000時間毎に下記要領にて補給してください。
    手順 交換要領
    1 補給は停止中に行ってください。
    2 天側部のハウジングに取付けられているグリースニップルより推奨グリースをグリースガン等で給脂してください。
    注)過剰に給脂すると発熱や潤滑油の早期劣化の原因となりますので、避けてください。

    グリースニップルサイズ:A-M6F

7-4-1. 推奨グリース(標準仕様 環境温度:-10℃ ~ 40℃)

メーカー 銘柄(工業用万能グリース JIS稠度 2号)
エクソンモービル モービラックス EP2 (当社封入グリース)
昭和シェル石油 シェルアルバニヤ EP グリース2
JXTG エネルギー エピノックグリース AP2
出光興産 ダフニーエポネックス No.2

注)特殊仕様の場合(高温、耐寒など特殊環境)の場合は、グリースの銘柄が異なる場合があります。必ず仕様にあった油種をご使用し、給脂ください。また、同時に外形図に記載している注記なども参照ください。

7-4-2. 概略給脂量

取扱説明書を参照ください。