技術資料 減速機 小形ギヤモータ 選定
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選定例[コンベヤ駆動]
選定例中のA、Bは下図の据付方式、A:脚取付、B:中空軸取付、の場合を示しています。
選定例はハイポイドモートルですが、ギヤモートル、クローゼモータも据付方式に準じて、選定ください。
A:脚取付
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B:中空軸取付
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選定条件
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1. 減速比の決定
必要とする出力軸回転速度より減速比を決めてください。
決定には特性表の減速比を参照ください。
- A:(1) コンベヤ軸の回転速度(nC)を求めます。
nC = V × 1000 D × π = 14 × 1000 200 × π = 22.3 r/min
- (2) ハイポイドモートルの出力軸回転速度(nL)を求めます。
nL = nC × 2 1 = 44.6 r/min
- (3)減速比を決定します。
製品ページの特性表より、60Hz, 44.6r/minに近い出力軸回転速度を求めると、45r/minとなり減速比は1/40となります。
- B:(1) コンベヤ軸の回転速度(nC)を求めます。
nC = V × 1000 D × π = 14 × 1000 200 × π = 22.3 r/min
- (2) ハイポイドモートルの出力軸回転速度(nL)を求めます。
nL = nC = 22.3 r/min
- (3)減速比を決定します。
製品ページの特性表より、60Hz, 22.3r/minに近い出力軸回転速度を求めると、22.5r/minとなり減速比は1/80となります。
2. 出力軸トルクの算出
負荷トルクより必要とする出力軸トルクを求めてください。
運転条件により表1のサービスファクターを乗じて補正出力軸トルクを求めてください。
- A:(1) コンベヤ軸の必要トルク(TC)を求めます。
TC = 9.8μM D 2 × 1 1000 × 1 η = 9.8 × 0.15 × 150 × 200 2000 × 1 0.95 = 23.2N・m
TC = μW D 2 × 1 1000 × 1 η = 0.15 × 150 × 200 2000 × 1 0.95 = 2.37kgf・m
- (2) ハイポイドモートル出力軸トルク(TL)に換算します。
TL = TC × 1 2 × 1 η = 23.2 × 1 2 × 1 0.95 = 12.2N・m
TL = TC × 1 2 × 1 η = 2.37 × 1 2 × 1 0.95 = 1.25kgf・m
- (3) 出力軸補正トルク(TF)を求めます。
表1のサービスファクターがCF = 1であり TF = TL × 1 = 12.2N・m
{TF = TL × 1 = 1.25kgf・m} - (4) モータ容量を求めます。
製品ページの特性表より、減速比1/40で60Hzのトルク12.2N・m{1.25kgf・m}を満足するものは、0.1kWとなります。
- B:(1) コンベヤ軸の必要トルク(TC)を求めます。
TC = 9.8μM D 2 × 1 1000 = 9.8 × 0.15 × 150 × 200 2000 = 22.1N・m
TC = μW D 2 × 1 1000 = 0.15 × 150 × 200 2000 = 2.25kgf・m
- (2) ハイポイドモートル出力軸トルク(TL)はコンベヤ軸トルクに等しいので TL = TC = 22.1N・m {TL = TC = 2.25kgf・m}
- (3) 出力軸補正トルク(TF)を求めます。
表1のサービスファクターがCF = 1でありTF = TL × 1 = 22.1N・m {TF = TL × 1 = 2.25kgf・m}
- (4) モータ容量を求めます。
製品ページの特性表より、減速比1/80で60Hzのトルク22.1N・m {2.25kgf・m}を満足するものは、0.1kWとなります。
3. 形番の仮定
減速比、トルク、急速停止から
A:ブレーキ付ハイポイドモートル HMTA010-22L40RBと仮定し諸条件を確認します。
B:ブレーキ付ハイポイドモートル HMTA010-20H80Bと仮定し諸条件を確認します。
4. 負荷の慣性モーメント{負荷慣性(GD2)}と起動頻度の確認
負荷の慣性モーメントの大きいものを始動するとき(ブレーキ付の場合は停止時も)に瞬間的に大きなトルクが発生し、思わぬ事故を起因させることがありますので、負荷との連結方法および負荷の慣性モーメント{負荷慣性(GD2)}より検討ください。
- A:(1) コンベヤ軸での負荷の慣性モーメント(IC){負荷慣性(GDC2)}を求めます。
IC = MR2 = 150 × 0.12 = 1.5kg・m2
{GDC2 = WD2 = 150 × 0.22 = 6kgf・m2}R = 1 2 D
- (2) モータ軸相当の慣性モーメント(Iℓ){負荷慣性(GDℓ2)}を算出します。
Iℓ = IC × 1 iC2 × 1 iL2 = 1.5 × 1 2 2 × 1 40 2 = 0.23 × 10-3kg・m2
GDℓ2 = GDC2 × 1 iC2 × 1 iL2 = 6 × 1 2 2 × 1 40 2 = 0.94 × 10-3kgf・m2
- (3) ハイポイドモートルとの慣性比(U)を求めます。
U = Iℓ IM
U = GDℓ2 GDM2
モータ軸相当慣性モーメント(IM){負荷慣性(GDM2)}は0.66 × 10-3kgf・m2{2.64 × 10-3kgf・m2}であり
U = 0.23 × 10-3 0.66 × 10-3 ≒ 0.35
U = 0.94 × 10-3 2.64 × 10-3 ≒ 0.36
- (4) 起動頻度の確認
表3慣性比と許容起動頻度より、起動頻度は30回/時間であり条件を満足します。
- B:(1) コンベヤ軸での負荷の慣性モーメント(IC){負荷慣性(GDC2)}を求めます。
IC = MR2 = 150 × 0.12 = 1.5kg・m2
{GDC2 = WD2 = 150 × 0.22 = 6kgf・m2}R = 1 2 D
- (2) モータ軸相当の慣性モーメント(Iℓ)(GDℓ2)を算出します。
Iℓ = IC × 1 iL2 = 1.5 × 1 80 2 = 0.23 × 10-3kg・m2
GDℓ2 = GDC2 × 1 iL2 = 6 × 1 80 2 = 0.94 × 10-3kgf・m2
- (3) ハイポイドモートルとの慣性比(U)を求めます。
U = Iℓ IM
U = GDℓ2 GDM2
モータ軸相当慣性モーメント(IM)は0.66 × 10-3kgf・m2{2.64 × 10-3kgf・m2}であり
U = 0.23 × 10-3 0.66 × 10-3 ≒ 0.35
U= 0.94 × 10-3 2.64 × 10-3 ≒ 0.36
- (4) 起動頻度の確認
表3慣性比と許容起動頻度より、起動頻度は6回/分であり条件を満足します。
※満足しないときは、期待寿命より早く減速機が損傷することがありますので、形番を上げて再度確認を行うか使用頻度を下げてお使いください。
- ・使用頻度を下げることができないときは、寿命が限定されることになりますのでお問合せください。
- ・慣性比が大きい場合は、インバータなどによる緩起動をお奨めします。
5. オーバーハングロード(O.H.L)の確認
出力軸や入力軸にスプロケット、ギヤ、ベルトなどを取付ける場合には、軸に作用するオーバーハングロードが使用するハイポイドモートルの許容オーバーハングロード(特性表に記載)以下になることを確認ください。
O.H.L を求めます。
O.H.L = 2000TF × f × Lf DS
- A:作用位置を軸長中央とすると、表4. O.H.L係数fおよび式1. 作用位置係数Lfおよび表5. 基準長さQより
f = 1 Lf = 1
RS60-13TのP.C.D = 79.6mmより
O.H.L = 2000 × 12.2 × 1 × 1 79.6 = 307N
O.H.L = 2000 × 1.25 × 1 × 1 79.6 = 31.4kgf
許容O.H.L内にあることを確認します。特性表の許容O.H.Lは1617N{165kgf}でありOKです。
- B:作用位置を下図の中空出力軸端よりℓの位置と仮定すると
f = 1 Lf = 1
O.H.L = 2000 × 22.1 × 1 × 1 200 = 221N
O.H.L = 2000 × 2.25 × 1 × 1 200 = 22.5kgf
許容O.H.L内にあることを確認します。特性表の許容O.H.Lは2254N{230kgf}でありOKです。
※満足しないときは、作用位置を出力軸の根元寄りにしたり、スプロケットのP.C.Dを大きくしたり、ハイポイドモートルの形番を上げて対応してください。
6. 形番の決定
据付方法、使用電源、急速停止の条件とトルク、減速比、起動頻度、O.H.Lを満足するものから次の形番が決定されます。
ブレーキ付ハイポイドモートル
A:HMTA010-22L40RB
B:HMTA010-20H80B