技術資料 ドライブチェーン チェーン選定

7. 吊下げ駆動の例

ローラチェーンを吊下げ用として使用する例は多くあります。

ローラチェーンの特長を活かし、正しい選定と注意事項を守ることにより、ローラチェーンを吊下げ用として使用できます。

下記に代表的な吊下げ用途を図示しています。(安全装置は別途考慮ください。)

バランス用

バランス用

昇降設備(1)

昇降設備(1)

昇降設備(2)

昇降設備(2)

昇降設備(3)

昇降設備(3)

吊下げ用ローラチェーンの選定時の注意点

1. 規制のある時

ローラチェーンの選定に関して、法や指針による規制があるときは、それによる選定と、許容張力選定の両方を行い、余裕のある方のローラチェーンをお選びください。

2. リンクについて

F形継手リンクをご使用ください。オフセットリンクは使用できません。

3. 給油について

給油はローラチェーンが屈曲する部分の荷重をできるだけ除いた状態で行います。端末金具(エンドボルトと継手リンクなど)との連結部にも給油を行なってください。

ローラチェーンを吊下げ用として使用したときの、歯飛びを起こさないカウンタウエイトの質量

Tk = To × {sinΦ / sin(Φ + 2α)} K-1

  • Tk:最小ウエイト張力(最小バックテンション)
  • To:ローラチェーン張力
  • Φ:スプロケット最小圧力角 Φ = 17°- 64° Z
  • 2α:スプロケット割出角度 2α = 360° Z
  • K:噛み合い歯数 K = θ 360 × Z ...安全面より小数点以下切捨て

例:To = 10.8kN {1100kgf}、Z = 13T、θ = 120°とすると

  • Φ = 17° - 64° Z = 17° - 64° 13 = 12.077
  • 2α = 360° Z = 360° 13 = 27.692
  • K = θ 360° × Z = 120° 360° × 13 = 4.33 ... K = 4
  • Tk = 1100 × {sin12.077 / sin(12.077 + 27.692)} 4-1 = 38.5(kg)

したがって39kgのウエイト質量があれば歯飛びはしません。

ただし、レイアウト、ローラチェーンおよびスプロケット歯部の摩耗などの条件によって変わります。上記は目安としてお考えください。

ローラチェーンを吊下げ用として使用したときの、歯飛びを起こさないカウンタウエイトの質量